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4.組織能力と付加価値創造

この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。

組織能力と言われてもピンときませんね。今回は技術経営における組織能力とは何なのか。組織能力と付加価値創造との関係を綴りたいと思います。

本書では「組織能力」とは、企業が固有に持つ有形無形の資源と、それを活用する能力やプロセスと書かれています。具体的には、「技術的資源」(特許、データ、実験機器、製造機器など)や「人的資源」(個人の知識やノウハウなど)、およびそれらの資源を統合して効果的・効率的に活用するための組織プロセスとして蓄積される、と書かれています。

小難しいですね。「組織能力」を簡単に言うと、技術開発や商品開発の部署を例にとると、現在までに蓄積されたノウハウや仕事のやり方をそこの部署の人たちが効率よく活用して、個々でなくチームとして、与えられたミッションを達成していく能力になると考えます。また、新しいことを達成した時に修得した新たなノウハウを蓄積する仕組みも組織能力の一つだと考えます。

さて、この組織能力は技術開発、商品開発する上で非常に重要です。その理由は継続的な企業の成長による付加価値創造に欠かせないからです。ヒット商品を生み出しても一発屋に終わってしまえば企業は成長できません。次のヒット商品や改良商品を市場に投入する仕組みが必要です。それが組織能力のレベルに左右されると考えます。

組織を分解するとヒトの集まりです。一人一人が組織のミッションを理解し、腹落ちした状態で、同じ方向を向いた状態で仕事をしないと組織とは言えません。同じ方向を向いて仕事をする前提で、いかにして継続的に成長をするかを考えた場合、企業は、既存商品の改良型で進めるのか、革新的な新商品型で進めるのかを外部環境である市場や競合企業、そして内部環境であるその企業の強み、弱みを考慮した上で決めていきます。

そうポンポンと革新的新商品を市場投入できる企業はないと思いますので、革新的新商品と改良商品をミックスした商品戦略を企業は選択することが多いと思います。それは車で言うとフルモデルチェンジとマイナーチェンジです。新商品を投入したあと、競合企業の追従を許さないために、しばらくは改良商品を投入し、開発投資費用を回収していきます。それと並行して次の革新技術を含んだ新商品開発への投資を水面下で行い、現行商品のライフサイクルが衰退期を迎えるころに革新的新商品を市場投入していきます。

しかし、言うのは簡単です。実際にこのように実行できているかというと、なかなかうまくできていないのが実状と思います。それだけ技術経営は不確実性が高い分野なのです。ヒット商品が出て成功体験してしまうと、それにしがみつきあえて革新的な新商品を開発しない意思決定(付加価値創造の思考停止)をしてしまうこともあるかと思います。そうこうしているうちにその組織は革新的な商品開発能力が低下してしまい、時代の移り変わりに追従できない組織となってしまいます。そうなると継続的な付加価値創造ができない状態となってしまいます。

組織能力を向上し、継続的な付加価値創造を行うためには、失敗を恐れない積極性や挑戦意欲が必要です。失敗は付きものだと思い、PDCAを回しながら、失敗を成功に導く仕事のやり方、すなわち組織能力が必要と考えます。

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