8.マーケットインとプロダクトアウト – guts-consultant
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8.マーケットインとプロダクトアウト

この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。

通常、プロダクトアウトよりもマーケットインの方が、良い戦略と言われています。しかし、コア技術戦略は、プロダクトアウト戦略となります。今回はそれを説明します。

本書では、それぞれこのように説明しています。

【マーケットイン戦略】

ある商品を開発する場合に、顕在的な顧客ニーズへの適合を優先すること。顕在ニーズにおいて、独自技術を開発することが求められる。

【プロダクトアウト戦略】

顕在ニーズには適合していないのにもかかわらず、コア技術として選択した独自の技術の利用を優先すること。独自技術を何とか顧客ニーズに適合させることが求められる。

上記説明を読んでも、マーケットインの方が顧客ニーズを満たしており良く、逆に、顧客ニーズを無視した技術ありきの商品を開発したところで顧客に買ってもらえなければ意味はないと思いますよね。ここで着目することは、顕在化した顧客ニーズではなく、顕在化していない、すなわち潜在ニーズです。潜在ニーズとは、顧客がまだ気がついていない、または明確には表現できないニーズのことです。よって、マーケットインからでは商品開発できません。潜在ニーズを発掘し、プロダクトアウトで商品開発した商品を市場投入することによって、潜在ニーズが顕在ニーズに変化すれば、先行者利益を獲得することができます。これが、プロダクトアウトによるコア技術戦略です。

ある企業が、顕在ニーズにもとづくマーケットイン戦略を取ったとします。市場が拡大傾向であれば、その波に乗って利益を獲得できるでしょう。しかし、次々と新規参入がやってきて、市場が頭打ちしてしまうとシェアの取り合いになり、結局は価格競争に巻き込まれてしまいます。

そうならない一つの策として、良い意味でのプロダクト戦略があります。具体事例として、本書ではシャープの液晶ビューカムが取り上げられています。その当時、ソニーのハンディカムが小型・軽量でヒットしていました。顧客ニーズは「小型・軽量」です。シャープは先行者と同じ機能(小型・軽量)で勝負しても、勝ち目がないと思い、コア技術として持っている液晶技術を何とか使えないかと模索していました。潜在ニーズとして、「ビデオカメラで撮った映像をすぐに画面で確認したい。それなら、多少重くてもよい」があることに気づき、液晶画面付きのビデオカメラを発売しました。すると、顧客は今まで気づいていなかったニーズに気づくことになり、あっという間にヒット商品になりました。現在では、液晶画面付きが当たり前になりましたね。

そうそうこのようなサクセスストーリーを経験することは少ないかもしれませんが、目先の顕在化した顧客ニーズにとらわれるのではなく、深層心理を働かせ潜在ニーズの発掘も日常的に考えながら、商品開発を続けることが大事だと改めて考えさせられました。

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