6.製品アーキテクチャー
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
製品アーキテクチャーとは、簡単に言うと部品間のインターフェース(つなぎ合わせ部分)も含めた設計思想です。よく言われるのが、「モジュラー型」と「インテグラル型」です。
①モジュラー型
部品間のインターフェースが規格化、標準化されていて、部品を単独で開発でき、組み立てる時もインターフェースが規格化されているので、すり合わせ調整が必要なく製品に組み立てることができます。代表例がパソコンです。パソコンのインターフェースは規格化していて、CPU、メモリ、マザーボード、筐体、ハードディスクなど、それぞれのインターフェースの規格に合わせて部品を調達し、組み立てるとパソコンが完成します。部品間の調整やすり合わせが必要なく、部品単独で開発ができます。
②インテグラル型
部品間のインターフェースが規格化や標準化されていなく、毎回部品間で調整しながら、仕様を決めていきます。また、部品の性能や機能が周辺部品に影響を与えたり、逆に影響を受けたりします。よって、部品単独で開発を進めることができず、周辺部品との調整やすり合わせが必要となってきます。代表例が自動車と言われています。ボディーデザインでエンジンやサスペンションのレイアウトが影響を受けます。また、エンジンの性能は駆動系部品の強度などにも影響を及ぼします。そして、部品間のインターフェースも車種によって異なることも多いと思います。いわゆる個別最適設計ですね。
商品の特性や製品ライフサイクルの違いによって、どの型で設計するかが決まってくると思います。パソコンでも小型・軽量・薄型のノートパソコンなどは、モジュラー型ではなく、個別最適設計を施したインテグラル型のものもあるでしょう。
私は自動車部品の開発・設計をしていました。それは典型的なインテグラル型の製品アーキテクチャーでした。担当製品のインターフェースはお客様とすり合わせを行い設計しました。また、製品性能も設計前に仕様提示があり、それに基づき設計をしてデザインレビューを実施し、承認をもらい詳細設計や試作を行っていました。
しかし、製品の中身は案外標準化が進んでいました。他の顧客向けの製品と共通化することによって、信頼性アップやコストダウン、設計効率向上を実施していました。
今後の世の中の流れは、モジュラー型の製品アーキテクチャーが増えるのではないかと思います。自前主義で単独企業のみで開発する環境ではなく、企業間連携によって新技術を織り込んだ製品開発をする場合、規格化、標準化があった方が最終製品へのアプローチが短くなります。ただ、自社の設計を業界の規格化、標準化にするための覇権争いは、今後ますます激しくなるでしょうね。
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