2.技術経営の難しさ
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
技術経営は、経営資源として技術・商品に焦点を当て、それらの付加価値を最大限に創造するためのマネジメントを考えていきます。それは他の主要な経営機能と比較して時間がかかり複雑であり、困難性が高いと言えるでしょう。本書では、困難性が高い最大の要因は、技術経営を取り巻く不確実性の高さにあると述べています。確かにそうだと思います。商品開発するのに何年もかかるし、単独で自己完結できるような開発ではなく、顧客や仕入先も巻き込んだ大きな企業間システムの中での開発で複雑な関係になります。
本書では、技術経営に係る3つの不確実性として「技術の不確実性」「顧客ニーズの不確実性」「競争環境の不確実性」を挙げています。
1.技術の不確実性
商品開発は、狙ったとおりに開発できるわけではなく、失敗することもありますし、逆に偶然の成果もあります。未知の領域の開発は試行錯誤もあります。スマートに開発できる方が少なく、それだけ不確実な領域で仕事を進める必要があります。
2.顧客ニーズの不確実性
顧客ニーズに合致した商品開発ができればよいですが、顧客ニーズの変化は不確実性に溢れています。消費の多様化も進み、それに伴い顧客ニーズの多様化、細分化も進み、複雑性と不確実性が一段と高まっています。
3.競争環境の不確実性
ヒット商品が出ても、その市場が魅力的であると競合企業が参入してきます。先発企業が独自性を持ち、差別化できる程の技術力・商品力がある場合と、そうでない場合とでは競争環境は違ってきます。また競争環境は国内だけでなく海外企業も視野に入れなければならなりません。また、業界標準(デファクトスタンダード)を勝ち取るか、取れないかでもその後の競争環境は違ってきます。業界標準を取るために企業連合を組む場合もあります。このように競争環境も不確実性が高いと言えます。
技術経営は複雑で、不確実性が高い分野です。しかし、ここに企業を成長させるカギが隠されていると考えます。顕在ニーズだけでなく潜在ニーズをキャッチアップして、地道に技術開発を続けることによって、他社が簡単に真似できない技術を構築することが重要であると考えます。目先のニーズにあまり振り回されず、10年先のニーズを想定し、逆算設計で開発ロードマップを描き、今やることを着実に行うことが大切だと考えます。目標を定め、その目標実現のために課題出しをしっかり行い、方策を考え実行していきます。当初の目標が世の中のトレンドから外れてきていないかチェックし、場合によっては修正も必要になるかもしれませんね。それだけ技術経営は不確実性が高いですね。
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