19.企業間マネジメント
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
企業間マネジメントには、基本的に2つのタイプがあります。1つ目は、短期的に個々の取引をビジネスライクに取り扱う取引関係、2つ目は、長期的な関係を志向し、信頼関係を基盤としたパートナーとしての取引関係です。本書では、この2つのタイプの企業間関係を「exit型(退出型)」と「voice型(発言型)」に分類しています。
【exit型(退出型)】
企業間関係において問題が起きた場合に、その取引をやめるタイプです。例えば、A社は部品XをB社から購入しました。A社は購入した部品Xに不具合を発見しました。A社は不具合を発生させたB社を取引先から外し、別の取引先を探します。すなわち、取引関係から退出(exit)します。
この関係の場合は、世界中からその時点での最適な部品を選択することが重要です。インターフェースが規格化されていれば、周辺部品との調整は不要になります。そのため、企業間関係ではなく、純粋に世界中でベストな部品を選択することが重要になります。
【voice型(発言型)】
企業間関係において問題が起きた場合に、意見を言って継続するタイプです。上記と同じ例で説明しますと、A社はB社へ不具合内容を説明し、改善をすることを要求します。すなわち、B社に対して発言(voice)します。
これを実現する必要条件として、本書では、①供給企業は顧客の商品と、その開発プロセスについて、十分な知識を持つこと、②顧客企業のニーズに合わせて部品をカスタマイズすることと、それに必要な関係依存的な投資ができること、③企業間に信頼関係があること、と述べています。
この2つのタイプは、製品アーキテクチャーによって変化します。モジュラー型はexit型(退出型)、インテグラル型はvoice型(発言型)ですね。ちょっと良くわからないという方は、製品アーキテクチャーについて書いたブログを参考にして下さい。
日常生活でも良くあることですよね。買い物に行って、嫌な思いをした時に、もう二度とあの店を利用したくないと思えばexit型(退出型)、苦情を言って改善してもらってまた来店するようになればvoice型(発言型)ですね。
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