11.商品開発の組織構造
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
本書では、商品開発における組織構造を3つに分類しています。
【機能別組織】
技術分野別(機械・電気・材料など)の専門性、部品システム別(エンジン・ボディ、トランスミッションなど)の専門性、開発業務別(設計・解析・製造など)の専門性など、さまざま分け方があるが、これらのような機能で分かれている組織。機能横断的なプロジェクトは存在せず、それぞれの専門分野の役割を担当し、その業務に専念する。機能部門間で調整が必要な場合はミーティングを持つ。
【プロジェクト組織】
機能部門で創造された技術や知識を集めて、機能やコストに優れた商品を開発するために、さまざまな機能部門が一緒になって取り組む部門横断的な組織。メンバーは、人事上も機能部門から正式に離れて、特定のプロジェクト専属となる。プロジェクトが終了すると、再び機能部門へ戻る。
【マトリックス組織】
機能別組織とプロジェクト組織の中間的な組織。機能別組織に属したまま、プロジェクトチームを形成する。メンバーの上司は機能部門とプロジェクト部門の両方が存在するワンマン・ツーボスシステムになる。
現実的には、マトリックス組織のタイプが一般的ではないでしょうか。きちんとしたマトリックス組織でなくても、このプロジェクトの担当は、メカ設計○○さん、油気圧設計××さん、制御設計△△さん、・・・、そして、プロジェクトリーダー◎◎さん、というような感じで担当決めをするのではないかと思います。
どの組織構造が良いかは企業規模や製品特性などで違ってきます。企業規模が小さい会社は必然的に機能別組織でも有効に組織機能が働くと思います。少数精鋭で運営していると思いますので、わざわざプロジェクトチームを作らなくても自然とコミュニケーションが取れると思います。また、すり合わせの必要のないモジュラー型商品のように部門内で自己完結での開発が可能であれば、機能別組織の方が有効だと考えます。
企業の成長に合わせて、組織タイプを変化させることも重要かと思います。規模が小さい時は機能別組織、だんだんと大きくなって部門間のコミュニケーションがとり辛くなってきたらマトリックス組織へ移行、規模が大きくなって人員に余裕が出てきたら、専属チームであるプロジェクト組織を採用し、商品開発のスピードアップを図るなど臨機応変に組織改革を実行するとよいでしょう。
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