14.プロジェクト知識の伝承と蓄積
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
【プロジェクト知識】
本書には、「要素技術や部品を完成度の高い商品として効率よく統合するための、組織プロセス能力に関する知識」とあります。
さらに、プロジェクト知識は、過程知識とシステム知識の2つの視点から捉えることができる、と述べています。
【過程知識】
商品開発プロジェクトの過程の中で生み出される知識。主に商品開発の、問題解決の試行錯誤を繰り返す過程で創り出される。
【システム知識】
製品システムや組織システムに関する知識。商品や組織を構成するさまざまな要素間の関係に関する知識。
難しくてピンときませんね。ちょっと語弊があるかもしれませんが、もっと簡単に説明するとこういうことだと思います。
プロジェクト知識とは、プロジェクト推進中に発生するさまざまな課題を解決する行動や、部品間・工程間の調整が必要になった時の組織の対応能力など、プロジェクト遂行に係る諸問題の解決プロセスに関する知識です。
この知識には、技術的なことだけでなく、組織における人的なことなど、プロジェクト遂行に必要なありとあらゆる事項が含まれます。この能力は、不確実性が高い問題を解決する特性上、その現場で対応した人のみに蓄積されます。いわゆる暗黙知です。暗黙知は伝承が難しいです。形式知であれば、作業手順書や業務報告書などに書き表すことができますが、暗黙知は表現することが難しく、そのような帳票類には落とし込むことができません。
では、どのように組織へ伝承や蓄積をしたらよいのでしょうか。結局は、泥臭く直接的・属人的に伝えるしかありません。本書では、プロジェクト1からプロジェクト2へプロジェクト知識を移転するためには、同じ人を担当させると述べています。
加えて、プロジェクト知識が高い人材を多く育成する必要があります。これにはOJTが最適です。プロジェクト知識は直接現場を体験しないと蓄積できないのなら、ベテランのプロジェクトマネージャーにサブマネージャーを付けて、仕事を共有しながら育てるしかありませんね。
プロジェクト知識の蓄積&移転を繰り返すことによって、次々とプロジェクトを成功させることができるのです。それによって、競合企業との優位性を保つことができると考えます。
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