16.マスカスタマイゼーション
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
本書では、マスカスタマイゼーションをこう説明しています。
マスカスタマイゼーションとは、製品技術ではなるべくモジュール化・標準化することによって大量生産と低コストを実現し、同時に商品の価値としては個別の顧客の注文にできるだけ合わせた商品にする戦略である。マスカスタマイゼーションを実現するための基本となる戦略は、技術や部品を共通化しながらも、多様な商品を多様な顧客ニーズに合わせて開発することである。それによって、商品開発や製造に投入される資源を最小化しながら、商品が多様な顧客に対応することにより創造される顧客価値を最大化するのである。
具体的な事例で有名な商品は、BTO(Build To Order)のパソコンですね。基本仕様をシリーズ化して、顧客にまずそれを選択させ、追加仕様をオーダーしていきます。そうすることによって、完全オーダーメイドのパソコンと比較して、品質も安定して良く、コストも安く、納期も短くすることができます。モデルチェンジの周期が早い現在で、魅力的な商品開発をする上で、このマスカスタマイゼーションがリーズナブルな戦略ではないでしょうか。
よくよく周りを見渡すと、この戦略を取っている商品はたくさんあります。自動車もそうですね。プラットフォームを共通化して、エンジンや、トランスミッション、サスペンションなどをシリーズ化し、組み合わせ技術で、さまざまな特性の車を開発していきます。そして、その車のコンセプトを象徴するボディーデザインを個別に設計し商品化します。その後、カーディーラーでオプションパーツを追加して、ユーザー仕様の車の出来上がりですね。
私が携わってきた駆動ユニット製品も同じでした。ユニット内部の構成部品は標準部品でできており、相手部品とのつなぎ合わせの部分は個別最適設計をしていました。また、高性能バージョンにするために、基本仕様に追加でセンサーを付けたり、制御システムを追加したりして、それぞれの顧客要求仕様を満足させていました。
この考え方は製品開発・設計だけでなく、サービス業でも同じだと思います。例えば、旅行会社が企画するパッケージツアーであれば、基本的なパッケージ仕様に対してオプショナルツアーの設定があります。インターネットプロバイダーとの契約も標準契約とオプション契約があります。美容院やエステサロンなどもその類だと思います。
いろいろなビジネスモデルをマスカスタマイゼーションの視点で観察すると、いろいろ気付くところがあり、面白いと思います。
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