18.企業間ネットワーク構造と企業間の力関係
この記事は、日本経済新聞社から出版している“MOT[技術経営]入門(延岡健太郎著)”を読んで、自分なりに整理し、意見を述べたものです。
企業間ネットワーク構造には、「オープン型」と「クローズ型」があります。オープン型は、調達企業1社に対して供給企業が1社という取引関係。オープン型は、調達企業複数社に対して、供給業者も複数社という取引関係のことです。
企業間の力関係を調達企業と供給企業のそれぞれの視点から見ると、調達企業が強い場合は、複数の供給企業から部品を調達できる体制になっていることですね。逆に供給企業が強い場合は、複数の調達企業に部品供給している場合ですよね。
理屈はよくわかりますが、実際の企業の行動がそうなっていない場合があります。例えば、取引先1社の依存度が極端に高い下請け企業がありますよね。交渉力が弱くなることはわかっているはずなのに、その状況から脱しようとしません。これは、下請け体質に甘んじている現実があります。元請け企業の要求を受け入れている間は仕事を安定的に受注できる環境に置かれます。その代りに価格協力を行います。下請け企業としては、楽して仕事をもらえる状況を作り出すことができるからです。しかし、コストは安く抑えられているために、利益を生み出しにくい構造となってしまいます。また、景気が悪くなって仕事量が減ってしまうと、調達企業から必ずしも安定的な仕事量を保証されるとは限りません。そういう事態になって他社へ営業活動しようと思っても、営業機能が未熟なため新規受注もできない状況になってしまいます。
逆に、調達企業が供給企業1社に依存して部品調達をしていると、足元を見られて価格のコントロールができず、その部品を採用しているユニット製品のコストが上がってしまい、競合他社にコスト面で優位性を保持することが難しくなります。
このように、クローズ型の場合、調達企業も供給企業もデメリットが目立ち、現在のビジネス環境では競争力が低下する傾向と考えます。よって、オープン型の戦略を取るべきと考えます。しかし、たくさんの企業との取引は取引コストも大きくなり、それもデメリットとなります。よって、そこそこの企業数でのオープン型が良いと考えます。その数は、業種や各企業によって違うと思いますが、本書には、一般的に2~3社程度が最適だと書いてあります。私の経験上も3社ぐらいが良いかと思います。
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